「う、う〜ん……」

 ベッドの上を見つめ、頭をかく。
 さて、どうしたもんか……。

 あたし、後藤真希。18歳。
 仕事を終え、自分の家に帰ってきてすぐに、ちょっとした問題に直面しています……。



  天使の寝顔



 今日も無事に仕事を終え、真っ直ぐに家に帰ってきた。
 するとすぐにお母さんが、「なっちさん来てるわよ」とステキ発言。
 仕事の疲れも吹っ飛び、自分の部屋に駆け込んだんだけど……

「すーすー……」

 そのなっちはあたしのベッドを占領してお休み中。
 2、3回呼びかけてみても反応無し。
 ど、どうしよう……さすがに霧吹きで水かけるわけにもいかないし……。


「なっちー、ごっちんが帰ってきたぞぉ〜!」

 プニプニとなっちのほっぺを突っついてみても、なっちは「ん……んぅ〜……」と呻いて寝返りをうつだけ。
 全然起きる兆しがない。

「なっち〜、起きてよ〜!」
「んっ……ごっちん……」

 起きたかな、と思ったけどなっちの目は開いてない。
 どうやら寝言だったみたい。
 夢にもあたしが出ているみたいで、それは嬉しいんだけど、今はなっちにさっさと起きて欲しいんであって。
 う〜、夢の中のあたしに嫉妬しちゃいそう……。

「なっち〜……」

 しょうがないからあたしはなっちの寝顔をジーッと見つめる。
 どっちかっていうとあたしのほうがネボスケだから、普段あんまりなっちの寝顔ってまじまじと見たことないんだよね。

「んん〜……ごっちん…ダメだべさ〜……」
「へぇっ!?」

 思わず飛び上がるけど、今度もやっぱり寝言だったみたい。
 ていうか夢の中のあたしは何してるんだぁ〜!?

 気を取り直してまたなっちの寝顔を眺める。
 なっちはフニャッと笑ったり、時々困った顔をしたり……。
 ホントにあたしが夢の中で何してるのか不安になるけど、それよりも……
 か、可愛い……。

 まつげは長いし、肌は白いし……
 こんな可愛い22歳いていいわけ〜!?
 うあ〜、なっち早く起きてよー! イチャつきたい〜!!


「なっち、起きてよ〜!」

 ……反応無し……。

「襲っちゃうよ〜、なっちぃ!」

 あっ、口がへの字に曲がった……。
 なんか機嫌を損ねちゃったみたい……。

「じゃあ、ちゅ〜しちゃうよ〜?」

 すると今度はニコッと笑う。
 これはOKってことだよね? うん、そう解釈しとこう!

「えへへ、じゃあイタダキマス!」

 そのまま顔を近づけていく。
 あと2cm……1cm……。
 そして唇が完全に重なった。


「んぅ……ごっちん……?」

 また寝言かな、と思ったけど、今度はちゃんと目を開けてあたしを見ているなっち。
 キスで目覚めるなんて、まるで童話のお姫様みたい。
 なっちは目をこすって体を起こした。

「ただいま、なっち」
「おかえり、ごっちん」
「なっち気持ちよさそうに寝てたね〜!」
「ごめんね。待ってたんだけどついうとうとして寝ちゃったべさ」
「んふっ! いいよ、寝顔可愛かったし!」
「なっ!?」

 なんか言いたそうに口をパクパクさせているなっちを抱きしめ、そのままベッドに倒れ込む。
 あったか〜い! このぬくもりを感じるたびに、あぁ、なっちだ〜、って実感する。

 そっと体を離してなっちの顔を覗き込む。
 なっちの顔はほんのりと赤みがかっていて。

「なっち、さっきの言葉訂正するね?」
「えっ? さっきの言葉って?」
「なっち、寝顔"も"可愛かったよ!」
「あっ! か、からかうんでないべさ!!」

 だって本当のことだもん!
 そう言おうと思ったけど、なっちがもっと真っ赤になっちゃいそうだからやめとこう。
 そのかわりまたなっちにギューッと抱きつく。


 満面の笑顔や、今みたいにちょっと照れてる表情もいいけど、
 たまにはまるっきし無防備な姿も見てみたい。

 だって無防備な姿を見れるのって、
 恋人の特権ってヤツでしょ!



「そういやなっち、もしかして夢にもごとー出てきた?」
「へっ? なんで?」
「いや、寝言でごとーのこと呼んでたからさ」
「あ〜、うん、出てきたよ」
「ふーん、ごとー何してた?」
「えっ……」

 するとなぜかなっちの顔がボンッと火を吹いた。

「そ、そんなのなっちの口から言えないべさ〜!!」
「ぇえっ!? ちょっと、なっち〜!!」

 ホントになにしてたんだ、夢の中のあたしは〜!!






あとがき

ようやく書きました、なちごま!
やっぱり好きなんですよ! 一推しなんですよ!!
今回はまずタイトルが思い浮かんで、そのあとざざっと書き上げました!
さてなっちはどんな夢を見たのやら(笑

( ´ Д `)<戻るよ!