「れいな〜、れいな〜!」
「はぁ〜い!」

 今日は娘。と同じくらいに仕事が終わったので、久しぶりにれいなと一緒に帰ってきた。
 そのままあたしの家につれてきて、れいなのために夕食を作ってあげた。

「わぁ、肉野菜炒めだ!」
「うん、ご飯よそってあるから持ってきて」
「はい!」

 好物を見つけたれいなは満面の笑顔で、お茶碗によそっておいたご飯を取りにいった。
 あたしはお皿に盛りつけた肉野菜炒めを持って、れいなに見えないようにニヤッと笑う。
 そしてれいなより先にテーブルにつき、お皿をそれぞれの席に置いた。



  アメとムチ



「いただきま〜す!」
「いただきます」

 れいなはまず大好物である肉をつまんで頬張った。
 そのとたんに顔が輝く。

「美味しいです、後藤さん!!」
「あはっ、ありがと」

 れいなは次から次へと肉をつまんで食べていく。
 よっぽど好きなんだなぁ。なんか微笑ましい。
 でも肉をつまむあいだに、さりげなく緑の野菜をよけているのをあたしは見逃さない。

「れいな?」
「はいっ?」
「美味しい?」
「はい、すっごく美味しいです!」
「そっか、よかった。……れいな?」
「はいっ?」
「ピーマンも食べなさい」

 直後、れいなの箸がピタッと止まった。
 そう、れいなのお皿には好物の肉も多めに入れてあるけど、嫌いなピーマンも多めに入れてある。
 よけていたピーマンを凝視するれいな。

「う〜……」
「ごとーの作った料理、食べれない?」

 唸り始めたれいなに、あたしは問いかける。

「れいなのために作ったんだけどなぁ……」
「うぅ……」

 ちょっと悲しげな顔をしてみると、れいなはとっても困った表情を浮かべた。
 れいなの心の中では激しい葛藤が行われているのが手に取るようにわかる。
 今度は心の中だけでニヤッと笑った。

「た、食べます……」
「んあっ、よかった」

 れいなは意を決すると、かき集めたピーマンを一気に口の中に放り込んだ。
 2回味わうのはごめんと言うところだろう。
 とっても嫌そうにピーマンを噛む。

「ピーマンは体に良いんだよ〜?」

 笑顔に戻ったあたしを、れいなは泣きそうな、恨めしそうな目で睨む。
 でも、悪いけど全然怖くない。
 ていうかむしろ、可愛い。
 ていうか実はこれが見たかった!!


「た、食べた! 食べました!!」

 ピーマンを飲み込んだれいなはそのままお茶を飲み干した。
 あたしはカップにお茶をつぎ足してあげる。

「あはっ、えらいえらい」

 そしてそのままれいなの頭を撫でてあげた。
 れいなはちょっと赤くなって俯いたが、すぐに反抗的な目になる。

「じゃあ後藤さんも嫌いなものちゃんと食べて下さいよ!」
「れいなが作ってくれれば、それはちゃんと食べるよ?」
「うぅ〜……」

 可愛いなぁ、ホントに!
 そう思いながら、あたしは立ち上がる。

「じゃあ口直しに。デザート作ってあるから一緒に食べよ」
「あっ、はい!」

 笑顔になったれいなの前に、あたしはプリンを置いた。


 夕食後は二人でDVDを見た。
 あたしがこの前借りてきたDVD。内容はと言うとれいなが苦手なお化けのホラー映画。
 ちなみにあたしは昨日一回視聴済み。
 だからけっこう怖い部分もわかって。
 あたしの腕にしがみついて体を震わせるれいなをたっぷりと堪能することができた。

「あ〜、もうこんな時間かぁ〜……」
「は、はいぃ……」

 れいなはまだDVDの余韻が残ってるようで。
 そんなれいなを見て、あたしはまた悪戯心が沸き上がってくる。

「そろそろ寝ないとね。あっ、れいな、お風呂先に入っていいよ」
「い、い、一緒に入りましょう、後藤さん!!」
「あはっ」

 れいなはあたしの腕を離さない。
 いつも「一緒に入ろう」って言ったらすっごく照れて、そんなれいなもまた可愛いんだけどね。
 結局今日はれいなに誘われるまま、一緒にお風呂に入った。


 お風呂から出るころにはれいなも怖さが抜けたみたいで、いつものれいなに戻っていた。
 れいなの髪を乾かしてあげて、れいなもあたしの髪を乾かしてくれて。
 で、寝室に入ったんだけど、そのとたんれいなは、今度はそわそわし始めて。
 そういやあたしは明日オフで、れいなも同じくオフだっけ。
 ははぁ〜ん……。

「それじゃあ寝よう、れいな」
「は、はい……」

 ベッドに潜り込むと、れいなも控えめにとなりに入ってくる。
 それを見てあたしは部屋の電気を消したけど……。

「それじゃ、おやすみ、れいな」
「えっ!?」

 あたしはすぐにれいなに背中を向けてしまう。
 背後でれいなが困惑するのがわかった。

「あの、後藤さん……」
「んあっ?」
「れいな、明日休みなんですけど……」
「あ〜、ごとーもだよ。偶然だねぇ」

 くるっと寝返りをうって、れいなの方を向く。
 そしてそっとれいなの頭を撫でる。

「どうしたのかなぁ、れいなは?」
「うぅ……」
「ちゃんと言ってくれなきゃわからないよ〜?」

 れいなは上目遣いであたしを睨む。
 今すぐ襲いかかりたいところだけど、もうちょっとガマン。
 するとれいなはあたしの胸元に顔を埋めて……。

「……いて、ください……」
「ん〜? よく聞こえない〜」
「抱いて……ください……」

 小さな小さな声で呟いたれいな。たぶん顔は真っ赤になってるだろう。
 ま、これが限界か。もう十分堪能したし。ついでにあたしのガマンも限界。
 れいなの顔を上に向け、その唇を奪う。

「んっ……ふぅ……」

 れいなの吐息が零れていく。
 舌を絡め、指を絡めて、れいなの手をベッドに押しつける。
 そしてれいなの身体に覆い被さる。

「あはっ、れいな可愛かったよ?」
「後藤さん、いじわるですぅ……」
「ごめんごめん。今からはちゃんと優しくするから」

 そう言うとれいなは安心したように笑った。
 そんなれいなが愛おしくて、あたしはもう一度唇を重ねた。
 そのまま優しくパジャマを脱がしていく。

 今日はちょっとムチを与え過ぎちゃったから
 最後にとびきり甘いアメをあげる……






あとがき

ハロモニやらモーチャンの影響でれなごま熱が急激に上がったので、ちょっと書いてみました。
Nも無きサマにも期待されちゃったことですし(笑
後藤部屋みたいに、ちょっといじめっ子なごっちんです。
今回の小説はすっごくすらっと書き上げることができました。
こんなにすらっと書き上げたのはいつぶりだか分からないくらい。

从 ´ヮ`)<戻ると!