最初に聞いたときはほんとぉにビックリして、ほんとぉに嬉しかった。
 まさか愛しいあの人といっしょにユニットを組めるなんてぇ!
 これでいっしょにテレビ出たり、いっしょの楽屋になれたりできるんだぁ!!

 でも一つ問題なのは……そのユニットが「三人」だったってこと……。


  ごちゃまぜ らぶ


「おつかれさまでしたー!」
 テレビの歌収録がやっと終わった。今日の仕事はこれがラスト。
 めずらしく早めに終わったみたいで時間はまだPM6時。
 それならこれからご飯に行こう!
 もっちろんあの人を誘って!

 なんて意気込んでテレビ局の廊下を歩いていると前方にあの人の後ろ姿を発見!
 見間違えるはずがない! だってあたしは今胸がキュルルン! 状態なんだから!
 あの後ろ姿はまさしく……

「ごっ!……ちん……」
 思い切って声をかけようとしたところ、どこからともなくみきたんが視界に乱入してきた。
 しかもしかも、なんでよりにもよってごっちんの隣に乱入してくるのよー!!
 あれっ? でもみきたんスタジオ出たのあたしより後じゃなかったっけ? いつの間に……
 ていうかさりげなく腕なんか組んじゃってー!! 何してんだー!!

 あたしはさっさと楽屋に入っていってしまった二人を追いかけて、楽屋のドアを思いっ切り開けた。
「みきたーん!!」
 だけど……

「ね、ごっちん、これから夕飯食べに行こうよ〜!」
「いや、ミキティ……このあと雑誌の取材じゃなかったっけ……?」
「おいしーぃ焼き肉屋見つけたんだよ。行こーよー!」
「いや、昨日も三人で焼き肉食べにいったし……」

 あたしの目に入ってきたのはごっちんにベタベタともたれかかっているみきたんと、ちょっと引いてるごっちんの光景。
 あれっ、もしかしてあたし気づかれてない?
 えーい、負けるかー!!

「そーだよー、昨日も行ったじゃーん!」
 本音:ベタベタするなーっ!!
 と、いうわけであたしはみきたんを突き飛ばしてごっちんを奪い返す。

「なんだよ、亜弥ちゃん。どっから湧いてきたの?」
「人をゴキブリみたいに言うなっ!! (声色180°転換)それよりぃ、ごっちん、おいしーぃケーキ屋さん見つけたんですよぉ。だからこのあと一緒に行きましょー!!」
「いや、まっつー……3時のおやつじゃないんだし……。それに……」

「ちょっと、亜弥ちゃん! ミキが最初に誘ってたんだから邪魔しないでよ!」
「邪魔はみきたんでしょー! これから雑誌の取材なんだからさっさと行けぇ!!」
「そのあとでごっちんと一緒に夕飯食べに行くの! 子供は早く帰りなさいっ!」
「子供ってみきたんと2歳しか変わらないじゃん! ごっちんとは1歳しか変わらないし!!」
「亜弥ちゃんは見た目が子供なの!!」
「なによそれぇ!!」
 しつれーな! これでも最近はキュート路線じゃなくセクシー路線で行こうと頑張ってるのに!!

「あ、あのさぁ……二人ともちょっと落ち着いて……」
「「ごっちんは黙ってて!!」」
「んあっ……」


 そのあとはひたすら言い争い。
 ごっちんはちょっと困り顔だったような……。


「とにかくミキが行くのー!!」
 あっ、どさくさに紛れてなにごっちんの手なんかつかんでんだー!!
 ぜーったい、負けないもんっ!!
「松浦が行くのー!!」
「ちょ、ちょっと二人とも、ごとーは綱引きの綱じゃないよー!!」
 お互い一歩も引かず、ずっと綱引きならぬ「ごっちん引き」が続きそうだったけど……


  〜♪〜♪♪〜 ♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜

 突然楽屋内に着メロが鳴り響いて私たちはみんな動きが止まった。
 これって……モーニングさんの「ふるさと」?

「あっ!!」
 最初に動いたのはごっちん。
 あたしとみきたんをふりほどくと一目散に自分のバッグを漁って携帯を取りだしてる。
 ごっちん、ダンス以外でも素早く動けたんだ……

 ごっちんは名前も確認しないで通話ボタンを押すと、携帯を耳に当てた。
「もしもし、なっちぃ!!」
「なっち」?……安倍さん?
「うん、ごとーも終わったよぉ!……わかった! じゃあ今すぐ行くからっ!! 後でねぇ!」
 電話を切るとあたしたちが見てるのも気にせず衣装を脱いで私服に着替えはじめた。
 あたしとみきたんはついつい後ろを向いてしまう。
 うぅっ……ちょっとは気にして欲しいんだけどぉ……


「ごめんね、今日はちょっともう予定があるんだ。また誘ってね!」
 私服に着替え終わったごっちんは笑顔で私たちにそういうと、バッグをひっつかんで颯爽と楽屋から出て行っちゃった……
 私たち二人はそのまま呆然と楽屋に立っていた。


「まったく! 亜弥ちゃんが邪魔しなければうまくいったのに!」
「なっ、邪魔したのはみきたんでしょー!!」
「亜弥ちゃんだよ!」
「みきたん!!」
 あたしたちの不毛な言い争いは、みきたんの取材のスタッフが楽屋に乗り込んでくるまで続いた。


☆ おまけ ☆
「いやーもーなっち、助かったよぉ」
「ん? どしたの、ごっちん?」
「なんかミキティもまっつーもごとーと夕飯食べに行きたいってきかなくてさぁ」
「ふぅん……亜弥ちゃんと藤本かぁ……フフフ……」
「な、なっち? なつみさぁん…? 安倍さぁん……?」






あとがき

実はこれ記念すべき私の短編処女作です!
の、わりにはなぜかモテごまであやや視点……。私が書くとなぜかあややはいつも暴走してます……。
まぁ、最終的にはなちごまだったんだけどね。
ちょっと黒めななっちがポイント?

( ´ Д `)<んあ? なっち黒いの?
(●´ー`●)<ちがうべ。黒いのは梨華ちゃんだべ。
(  T▽T )<やっぱり黒い……。

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