「あの〜、後藤さん……1つ聞いてもいいですか?」
「ん〜、なに〜?」
「"とりっく・おあ・とりーと"ってどういう意味ですか?」
「はぁ?」
いじわる家庭教師2 〜Trick and Treat?〜
今は紺野の苦手な英語のテスト中。
それなのにいきなり紺野がよくわからない質問をしてきた。
ずれ落ちそうになった眼鏡をかけ直して考える。
そんな問題作ったっけ?
ちょっと考えてからカレンダーを見る。
そういや今日は10月31日……。
日本じゃあんまり馴染みはないけど……そっか、今日はハロウィンだ。
「なんでいきなりそんなこと?」
「えーと今日ですねぇ、学校で友達にいきなりそう言われたんですよ」
「ふ〜ん、で?」
「意味わからなくて固まってたらその友達が『じゃあ"とりーと"だぁ〜!』って言って食べようとしてたお菓子とっちゃったんです!」
フグみたいにプクーッとふくれて怒りを露わにする紺野。
食べ物の恨みは恐ろしいって言うけど、なんか紺野の場合はレベルが違うよ……。
「それで、どういう意味なんですか?」
えーと確か"Trick"はイタズラで、"Treat"はもてなすって意味だったかな。
つまりイタズラされるか、もてなす、つまりお菓子を差し出すかどっちがいいか、ってことだよね。
「えーとね、"Trick"は……」
そこまで口に出してあたしはイイコトを思いついた。
紺野にはばれないようにニヤッと笑う。
「紺野」
「はいっ?」
「Trick or Treat?」
「えぇっ!?」
予想どおり固まる紺野。
少しずつ紺野との距離をつめていく。
「あ、あの、後藤さん、それどういう意味……」
「ほら〜、紺野、どっちにするの?」
「えっと、だから意味が……」
「答えないんだったらごとーが勝手に決めちゃうよ?」
おたおたとあわてている紺野。
おそらく選ぶ答えは……
「えーと……じゃあと、とりっく……」
もう一回ニヤッと笑う。
やっぱりね。"Treat"で痛い目にあってるから今度は"Trick"を選ぶと思った。
「じゃあお望みどおり"Trick"で!」
ぽけーっとしている紺野を抱きかかえる。
その瞬間紺野の顔が真っ赤になった。
「ご、後藤さん!? なにするんですかぁ!?」
「ん〜、ここじゃしづらいからベッド行こ!」
「ちょ、私テスト中なんですけど!!」
「そんなのあとあと! 紺野に"Trick"するほうが先!」
「だからどういう意味……」
「あのね、"Trick or Treat"ってーのは"イタズラされるか、お菓子を出してもてなすか、どっちにする?"って意味なんだよ〜!」
「ぇえっ!?」
真っ赤になってる紺野をベッドに降ろして、そのままあたしも覆い被さる。
う〜ん、でもこの状況ってある意味"Trick or Treat"じゃなくて、"Trick and Treat"だよね?
ま、あたしはいっこうにかまわないんだけど〜!
それじゃあ、いただきま〜す♪
あとがき
いじわるカテキョの2作目!!
サクッと一発ネタって感じです。
ハロウィンネタ。実はつくったのは1年前だったり(笑