「あ〜、疲れた……」
アタシは楽屋のソファに座って一息つく。
今日の仕事はハロモニの収録。
1本目の収録は終わったけど、この後またもう1本取る。
今はその間の休憩時間。
アタシはゆったりとくつろいでいたけど……
「ミキねぇ〜!!」
楽屋に飛び込んできた声に、アタシの本能が警戒を発する。
この声、しかもこの呼び方は……!
慌ててソファから立ち上がろうとしたけど、その前にアタシのふとももの上に何かが飛び乗っていた。
しかもわざわざアタシと向かい合うように。
「やっと収録終わったとね! さっきは違うチームだったから寂しかったと!」
アタシはチラッと視線を上げる。
アタシに飛び乗ってきたのは田中れいな。
同じモーニング娘。の6期メンバーで、今現在アタシの恋人……。
Little Devil
れいなはそのままぎゅーと抱きついてきたので、さすがにアタシもなんとかれいなを押し戻す。
二人っきりの時ならいいけど、ここ娘。の楽屋だし!
ほら、近くにいる小春ちゃんが不思議そうな目で見てるから!!
「れいな、とりあえず離れてくんない?」
「イヤ!」
恋人であるアタシのお願いを、れいなは二文字で拒否してみせた。
それどころか……
「あぁん、ミキねぇったら、そんな上目遣いで見ないでくださいよ〜! 変な気持ちになるじゃないですか〜!」
こんな事を言い出す始末。
いや、れいながアタシの上に乗ってるのがいけないんでしょうが!
「上目遣いで見られたくないなら降りてよ。つーか、降りろ!」
「え〜? いいじゃないですかぁ、いつも乗ってる……」
「わーーーーーっ!!!」
アタシは慌ててれいなの口を押さえる。
幸い遠くにいたメンバーはよく聞こえてなかったらしく、一回アタシたちのほうを見て、またすぐ自分の時間に戻った。
でも、しっかりと聞こえてしまった人もいるようで……。
近くにいた小春ちゃんがキョトンとした表情でアタシのほうを見ている。
そして小春ちゃんと一緒にいたよっちゃんさんは対照的にニヤニヤとした表情でアタシのほうを見ている……。
「へぇ〜、ミキティ、受けなんだ?」
「違っ!!……わないけど、違うっ!!」
「可愛いところもあるんですよ、ミキねぇは!」
「よけいなこと言うな!!」
アタシはまたれいなの口を押さえる。
小春ちゃんがまたキョトンとした表情で、今度はよっちゃんさんを見た。
「吉澤さん、受けってなんですか?」
「ん〜? それはね、ミキティは好き放題にヤラれちゃうってことだよ、小春〜!」
「最年少に悪影響なこと教えるな!!」
それ以上余計なことを言わないように、今度はよっちゃんさんを黙らせる。
小春ちゃんは相変わらずキョトンとしたままだった。よかった……。
☆
2本目の収録も終わり、そして今日の仕事も終わり。
夕食を済ませて、アタシは自分の家に帰ってきたんだけど。
「おじゃましま〜す!」
さも当然のように、れいなもアタシの家についてきた。
いや、いいんだけどね、いつものことだし……。
れいなが入ったのを見て、アタシは扉に鍵をかけた。
「ミキねぇ!」
「えっ?」
鍵をかけたのを見計らって、れいなが飛びかかってきた。
一瞬で頭がホールドされ、唇が重ねられる。
「んっ……!」
伏せられた目が至近距離にある。
そのままアタシは玄関の扉に押さえつけられた。
「んっ、は……」
れいなの舌はますます激しくアタシの口の中で暴れ回る。
足の力が抜けていく。
いつの間にかこんなことだけ上手くなって……。
力が抜けきる前に、れいながアタシの身体を抱きとめた。
「力抜けちゃったんですか? んふっ、可愛いなぁ、ミキねぇは」
「うっさい……」
しっかりと立とうとしたら、その前にれいなによって玄関に引き倒された。
すぐにれいなが私の上に覆い被さってくる。
そしてれいなの手がアタシの髪を撫でる。
「ミキねぇ、今日はこのままここでしちゃいましょうか〜?」
「はぁ!? ちょ、ちょっと待って!!」
「あ〜、でもそれじゃミキねぇの可愛い声が外に聞かれちゃいますねぇ〜?」
クスクスと笑いながら、髪を撫でていたれいなの手が今度はアタシの胸を掠める。
「あっ!」と声が出ちゃったあと、思わず口を押さえると、れいなはまたクスクスと笑った。
「やっぱりベッド行きましょうか。ミキねぇ、連れてってください〜!」
「はぁ? なんでミキが!?」
「じゃあ仕方ないですねぇ、このまましましょう!」
「わ、わかった、連れてくから!」
そう言うとれいなはにっこり笑ってアタシの上からどいた。
アタシもようやく立ち上がると、今度はれいなの腕が首に絡みついてくる。
「ミキねぇ、早くしてくださいよ〜!」
「ま、マジで……?」
れいなの望むままに、アタシはれいなを抱きかかえる。
うっ、アタシより身体は小さいけど、やっぱりキツイ……。
ヨロヨロしながらもなんとか寝室まで辿り着き、れいなをベッドに降ろす。
「ミキねぇ、ちゅう〜!」
ベッドはベッドに降りたけど、腕は解いてくれなかった。
キスをせがむれいなの上に覆い被さり、ゆっくりと唇を近づけていく。
「んっ……」
そういや自分からするのけっこう久しぶりだ……。
てことはいっつもアタシはやられっぱなしってことか……。
「たまにはされるのもいいですねぇ〜」
そんなことを言いつつも、れいなは体を起こし、逆にアタシをベッドの上に倒す。
そしてアタシの上に乗ってくる。
「ミキねぇ、もうすぐれいな誕生日ですよ!」
「あ〜、そういやそうだね。プレゼント何が欲しい?」
「ミキねぇ!」
即答かよ……。
「いっつもあげてるじゃん……」
「そういえばそうですねぇ」
「豊胸剤でもあげようか?」
「そしたらそのままミキねぇの誕生日に送り返しますから!」
なんだと、こら。
れいなよりはある……いいや、むなしくなるから……。
そんなことを考えていると、れいながペタッとアタシに抱きついてきた。
「れいなはミキねぇが一緒にいてくれれば何もいりません」
「それが一番困るんだけどね……」
そう言いつつも、アタシはれいなの頭をゆっくり撫でる。
完全に気を許した甘えんぼな笑顔だったり、ナマイキな微笑みだったり、コロコロ変わるれいなの表情は、ちょっと付き合うのが大変だけど、でも他の誰にも渡したくない、アタシが独り占めしたい表情で。
だからアタシはれいなからきっと離れられない。
独占欲なんて自分にはないと思ってたけど、れいなだけは特別かも。
胸元によせているれいなの顔をゆっくりと持ち上げ。
そのまま引き寄せ、また唇を重ねる。
「んっ……ミキねぇ、今日はやけに積極的ですね? 誘ってるんですか?」
「あ〜、そうかも……」
「ふ〜ん……じゃあお望みどおりにしてあげましょう!」
ニヤッと笑ったれいなは、小悪魔みたいな笑顔で。
そのままアタシの首筋に吸い付いてきた。
でも、そんな表情も見てみたいから。
今日はれいなに身を委ねることにした。
あとがき
実は前々から書こうと思ってたんです(ぉ
でも書く機会がなかったんですが、れいなの誕生日ということでようやく書くことができました。
みきれなです。とにかくみきれなです。でもってやっぱりミキティ受けです(ぇ
いいよね、こう、5才も年下にいいようにされちゃうミキティって(激マテ
そんなわけで、れいな誕生日おめでとう!