猫 & ねこ
「ただいま〜!」
仕事を終えて家へと帰ってくる。
芸能人ってのは日曜日でも関係なく仕事があるのがつらいところ。
でもまぁ文句いっててもしょうがないか。
あたしは階段を駆け上がって自分の部屋に入った。
日曜の仕事終わりの楽しみは録画しておいたハロモニを見ること。
録画が正常に完了していることを確かめると、早速ビデオを巻き戻しする。
今回はみんななにやったのかなぁ?
しばらくして巻き戻しが終了した。
あたしはリモコンの再生ボタンを押してテレビにかじりつく。
テレビの中には燕尾服を着た圭ちゃんが映し出された。
☆
あたしはそのままハロモニを見ていた。
みんなノリノリだなぁ、とか、
ミニモニ。の新コーナー始まったんだぁ、とか
あのときの裕ちゃん怖かったなぁ、とか。(「あいつはできない、結婚!」と言い切ったとき。言っとくけど台本にちゃんと書いてあったんだからね!)
言おうとしてたことよっすぃ〜に言われちゃった、とか、
紺野の男装もなかなかだなぁ、とか。
なんか途中からハロモニの感想じゃなくて紺野の感想になってたけど……。
そして番組は終わりに近づいていて、最後は紺野が活躍するハロプロワイド。
今回はなにをやったんだか、なんて思って見ていたら……
∧_∧
川*・-・)ノ
「・・・・・・」
一時停止を押したわけでもないのにテレビの画面が止まって見え、ついでにあたしも1分くらい硬直していただろう。
目がテレビから外せなかった。
そしてやっと硬直がとけたあたしは迷うことなくリモコンの巻き戻しボタンを押した。
つーか紺野……ヤバイよこれ……。
スタッフも何てことさせるんだか……えーと、グッジョブ!!
あぁ、でもこれが全国ネットで流れたのか……なんか複雑だなぁ……。
悶々と考えている間にも、手は正確にリモコンを操作して猫耳紺野の場所だけをエンドレスリピート。
このビデオは永久保存版だなぁ……。
☆
そして結構な時間が経過した。
あたしはあきもせずに猫耳紺野を見続けている。
するとあたしの部屋の扉がノックされた。
まったく、誰よ、あたしの楽しみを邪魔するのは!?
「はぁい、どおぞぉ……」
どうせお母さんかお姉ちゃんあたりだろうと、目はテレビに向けたまま口だけで答える。
でも外からはまったく違う声が聞こえてきた。
「あの……お邪魔します」
「!?」
今の声ってまさか……
そっと扉が開けられる。そこにいたのは……
「お久しぶりです、後藤さん!」
「こ、紺野っ!?」
あわててビデオを停止する。
そういえば今日は紺野が来るって言ってたっけ……。ていうかもうそんな時間なの?
やばい……なんかAV見てたのを彼女に見つかった彼氏の気持ちがよくわかる気が……。
「ご、後藤さん、今なに見てたんですか?」
この状況を紺野はしっかり見ていたらしく、あたしに詰め寄ってくる。
さすがにあたしも正直には言えずしらばっくれる。
「な、なにも!」
「嘘です! テレビつきっぱなしじゃないですか! なに見てたんですかぁ!」
「なんでもないって!!」
あたしの手に持ったリモコンに飛びついてきた紺野をかわして何とか逃げる。
それでも紺野はあきらめないで追ってくる。
「ほんとになに見てたんですかぁ!」
「だからなんでもないって!!」
何とかリモコンを確保したまま逃げきって紺野と距離をあけるけど……
「ま、いいですけどね。本体でも操作できますし」
「あっ!!」
紺野はあたしが制止するまもなく、ビデオの本体についている再生ボタンを押した。
そしてテレビ画面に映ったのは……
∧_∧
川o・-・)ノ<秋の秋刀魚は最高ニャ〜!
「・・・・・・」
「・・・・・・」
紺野はテレビ画面を見たまま硬直している。
そんな紺野を見てあたしも硬直している。
「……後藤さん?」
はぁ、バレちゃったか……。
でもまぁあたしは開き直って、いまだにテレビの前で凍結している紺野を後ろから抱きしめる。
「ご、後藤さん! なにを見てるんですかぁ!!」
「あはっ! 猫耳紺野〜!」
「開き直らないでくださいっ!」
紺野もようやく一時停止が解除されたらしく、あたしの腕の中でジタバタ暴れるけど体勢上あたしの方が有利なので簡単に紺野を押さえ込む。
「だって紺野が可愛すぎるんだも〜ん! なんだよぉ、こんなことしたんだったらごとーに教えてくれたっていいじゃん!」
「いやですよぉ! すっごく恥ずかしかったんですから!」
「なんで〜? 可愛いじゃん、あの猫耳……」
パッとハロモニ再生中のテレビ画面を見て再びあたしは固まった。
そんなあたしに気づいたようで紺野もテレビを見ると同じように固まる。
「・・・・・・」
「……あの……ご、後藤さん……」
「・・・・・・・・・・・・」
猫耳紺野の衝撃が強すぎてあたしは最後の方を軽く流して見てたけど……
ちょっとよく見てみると……
やぐっつぁんに抱きついちゃってますねぇ……紺野……
なんだか今度は彼女の浮気現場を偶然目撃した彼氏の気分。
「ご……後藤さん……あれは…そのぉ……」
あたしの腕の中で小さく縮こまっている紺野。
あはっ! まぁいいさ。許してあげるよ。
今のあたしは機嫌いいし。猫耳付きでやぐっつぁんにおじゃマルシェしたわけじゃないし。
でもまぁ、簡単に許しちゃうのもつまらないかな?
「んー、まぁ、今回は許してあげるからさぁ、その代わり1つお願い聞いてくれる?」
「……すごく嫌な予感がするんですけど、何ですか?」
「あの猫耳もらってきて!」
「それだけは嫌です!!」
「何でよぉ! ごとーだって生で見たいよ、猫耳紺野!」
「後藤さんの場合だと絶対見るだけじゃ済みません!」
言い切りやがったか。なんつーか、よくわかってんじゃん。
でも赤い顔してあたしの腕の中にすっぽり収まっている紺野はホントにかわいい仔猫みたいで。
こんな猫いたら本気で飼いたいよ。ていうか飼ってあげてもいいよ? なんならごとーが養ってあげようか?
まるっきしプロポーズみたいなその台詞。
口に出したら紺野はもっと真っ赤になっちゃうから、
今はまだ心の中にしまっておこう。
さてさて、ものわかりのいい仔猫ちゃん。
そこまであたしのことを理解してるんなら、これからあたしが何するかもわかるよね、こ〜んの?
― 翌日 ―
「おつかれやよー、あさ美ちゃん。あれぇ、なんやぁずいぶん眠そうやね?」
「あぁ、愛ちゃん。ちょっと寝不足で……」
「ところで猫耳ヘアバンドなんかもってどうしたんや?」
「ちょっと……かくかくしかじかで……」
「ふ〜ん。あっ、それなら前に私が着た猫の気ぐるみのほうが後藤さんも喜んでくれるんやない?」
「……ごめん、逆効果……」
あとがき
以前の日記で宣言したねここん小説。ていうかHPWのネタを使ったごまこん小説。
放送遅れてる地域の人にはまだよくわからないかも……?
まぁ、衝撃的映像がありますので紺野ファンの人はご注意を(ぇ
なにげにこの小説で一番苦労したのって高橋の福井弁……。
難しすぎる……。