「じゃあそろそろ寝ようか、ごっちん」
「んあ……」

 夜もほどよく更けた時間。ミキティの家に二人っきり。
 いつもなら飛びついて、押し倒して、そのままいただきますなんだけど、今は訳あってそれができない……。
 あたしは大人しくミキティの隣に潜り込む。するとミキティが部屋の電気を消した。

「おやすみ、ごっちん。あっ、でもその前に……」

 ミキティがすすすっと身体をよせてくる。
 そしてそのままゆっくりと唇が重なった。

 いつもならこのまま舌を絡め、胸を揉みつつ、パジャマを脱がしにかかるんだけど、今は訳あってそれができない……。
 ゆっくり唇が離れると同時に、ミキティも身体を離す。

「おやすみ!」
「んあ……」

 なんであたしがこんな禁欲生活を強いられてるかというと。
 それは4日前にさかのぼる。



  おあずけBABY



 ここのところあたしはミキティと一緒の仕事だったり、終わる時間が一緒だったり、オフが重なったり。
 なのであたしは毎日のようにミキティの家に転がり込んでいて。
 そんでもって毎日のようにミキティを弄んで……もとい、味わってたんだけど……。

 その日はまたオフが重なり、あたしはミキティの家で一緒にゴロゴロしていて。
 でも昼過ぎから降り出した雨のおかげで、出かけるのがめんどくさくなり。
 なんかやることないかなぁ、と部屋の中を見渡してみると、ソファの上で無防備にウトウトしているミキティ発見。
 あはっ、ちょっと早いけど、他にやることもないしぃ〜!
 あたしはミキティに忍び寄ると、そのまま飛びかかった。

「ぅわっ!? ちょ、何、ごっち……んぅっ!?」

 ミキティの身体を押さえつけ、唇を奪う。
 あたしの身体の下でジタバタと暴れているのが、また可愛い。
 十分に口内を味わったあと、今度は首筋を唇で撫でる。

「やっ、ちょっと、ごっちん、まだ昼過ぎじゃん!!」
「だってやることないんだも〜ん!
「昨日したじゃん! 一昨日だって、その前だって!」
「昨日はミキティ一回でダウンしちゃったじゃん。それに一昨日は……」
「詳しく思い出さなくていいー!!」

 さすがにミキティも激しく抵抗してくるけど、あたしに勝てると思ってるのかなぁ?
 ミキティの弱いところなんてお見通しですぞ。
 Tシャツの裾から手を侵入させ、胸を弾くと、ミキティの身体がビクッと震えた。

「あっ!」
「あはっ、相変わらず敏感だねぇ」
「んっ!」

 もう一度唇を塞ぎ、それと同時にTシャツをたくし上げ、ブラを外す。
 ミキティも往生際が悪く抵抗を続けるけど、全然力が入ってない。

「それじゃ、いただきま〜す!」
「いやぁあーーー!!!」


「はぁ〜」
「しくしく……」
「なぁに、泣くほどよかったの?」
「ちがうよっ!!」

 事が終わり、あたしはソファの上に寝転がる。
 ちなみにミキティはソファの下で泣き崩れていた。

「そんじゃ汗かいたし、軽くシャワーでも浴びようか?」

 ソファから降り、ミキティに後ろから抱きついた。
 でもその手はすぐに払いのけられた。

「んあっ?」
「ごっちん!!!」
「は、はいっ……?」

 ミキティは向き直り、あたしを睨みつけた。

「ごっちんはヤることしか頭にないの!?昨日だって、一昨日だって、その前だって!!」

 や、ヤバイ……もしかして怒ってらっしゃる……?
 ミキティの勢いに押されて、あたしは少し後退る。
 やりすぎた? むしろヤりすぎた? いや、あたしとしてはまだヤり足りないんだけど。って、そうじゃなくて……。

「ごっちんはミキの身体だけが目当てなわけ!?」
「ち、違うよ! ミキティの心も身体もごとーのものだよ!!」
「だったら少しはガマンってものをしてよ! ミキはごっちんとまったり過ごしたい夜もあるの! ごっちんももう21才なんだから、自制心くらい持ってよ!」
「んあっ、ごとーだってガマンくらいできるよ!!」

 思わずミキティの言葉に反論する。
 するとミキティは「ふ〜ん……」と挑戦的な視線を向けてきた。

「それじゃあ見せてもらおうか?」
「の、望むところだ!!」

 売り言葉に買い言葉。
 こうしてあたしはミキティと我慢対決をすることになってしまった。
 で、そのルールというのが……

「じゃあこれから1週間エッチ禁止ね!」
「ぇえっ!?」

 そ、それはちょっと長すぎじゃないですか……?
 でも更にミキティはルールを追加してくる。

「していいのはキスまで!」
「ぇえ゛っ!?」
「あっ、ディープキスはダメだよ!」
「ごとーに死ねと!?」
「なぁに、ガマンできるんでしょう?」
「で、できるもん……!」

 でもこのままじゃあたしに何もメリットがない。
 だからあたしもルールを追加する。

「そのかわり! ごとーが勝ったらミキティは罰ゲームね!!」
「ば、罰ゲーム!?」
「だってこのままじゃごとーがわざわざガマンする意味がないもん!」
「な、何させる気よ……?」

 今度はミキティが慌てる。
 さてさて、何をさせようかなぁ〜?
 あぁんなことや、こぉんなこともさせたいけど、一つに決められないなぁ。
 それなら……

「じゃあごとーが勝ったらミキティは一日ごとーに絶対服従ね!」
「えぇっ!?」
「それならやってもいいよ〜!」
「わ、わかったよ。その代わりミキが勝ったらごっちんが絶対服従だからね!」

 ここまで来たら意地の張り合い。もうお互いに後には引けない。
 いいさ、受けてやろうじゃんか!

「フフフ、1週間後を楽しみにしてるんだね、ミキティ! どんな羞恥プレイをさせられるのか!!


 と、勢いよく宣言したものの、こうも生殺し状態が辛いとは……。
 ミキティとのスケジュールは幸か不幸か、まだ上手いこと重なっていて。明日は別々の仕事だけど、示し合わせたように終わる時間は結局ミキティと同じ。
 そろそろあたしもガマンの限界。でも、そんなあたしの気持ちをよそに、ミキティは隣で気持ちよさそうな寝息をたてている。
 んあ〜! 舐めたい、におい嗅ぎたい、揉みたい、撫でたい、吸い付きたい!! 口では言えないようなことしたいよー!!
 手がミキティの方に伸びそうになるけど、慌てて押さえつける。
 あと少しガマンすれば、ヤりたい放題。それまではなんとか……。

「はぁ、寝よう……」

 あたしはミキティに背中を向け、無理矢理目を瞑った。
 いつもじゃ考えられないなぁ、まったく……。


 そんなこんなで。
 なんとか誘惑に耐え、自分の仕事もこなして、ようやく迎えた最終日。
 今日が終われば我慢対決も終了。あたしの勝ちで、即ち手出し放題!
 あたしは気合十分で仕事を片づけ、ミキティの家に飛んできた。
 そして時間は刻一刻と刻まれていき、今時計は「23:55」と表示されている。

「んふふ〜、ミキティ、もう今日も終わりだねぇ〜!」
「そ、そうだね……」

 あたしはミキティの肩を抱き寄せ、笑いかける。
 ミキティの返事はどこか上の空。
 もうお風呂にも入ったし、部屋も暗くしたし、スタンバイオッケー!
 あたしはミキティと並んでベッドに座り、時計を眺める。
 今日が終わったら、即押し倒す!!
 幸い明日はあたしもミキティもオフ。んふふ〜、早く5分経ってくれないかなぁ?

 はやるあたしの気持ちとは反対に、時間はゆったりと流れていく。
 5が6になり、7になり、8になり……。
 んあ〜、待ちきれない〜!
 そして9になり、ようやく全ての数字が0にリセットされた。

「終わった!」
「うん……」
「ごとーの勝ちだね、ミキティ! ごとーだってガマンくらいできるんだよ!」
「そ、そうだね……」
「と、ゆーわけで!!」

 軽く勝利宣言をしたあと、あたしは速攻でミキティをベッドに押し倒した。
 そしてそのままミキティに覆い被さる。
 もう限界! ガマンなんてできない!
 ミキティの身体を押さえつけ、強引に唇を重ねる。

「んぅ……!」
「むっ…はぁ……!」

 ミキティの舌を探り当て、味わい尽くす。
 ミキティの味、ミキティの香り、ミキティの体温……。
 ミキティの全ての要素があたしの飢えた身体に染みこみ、わずかに残った理性を浸食していく。

 もっとミキティを感じたくて、ミキティのパジャマと下着を脱がしにかかる。
 そのあとあたしも一気に着ているものを脱ぎ捨てた。
 その間ミキティはなんの抵抗も見せないで。

「今日はずいぶん大人しいね、ミキティ? 観念したの?」
「だって、ミキは負けたんだし……」
「ふ〜ん。でもそんなこと言って、ホントは期待してたんじゃないの〜?」

 あたしとしてはちょっとからかったつもりだったんだけど。
 ミキティはフッと顔をそらして黙り込んで。
 あれっ?
 ミキティのキャラから考えると、ムキになって否定するのがいつものリアクションじゃ……?

「もしかして……図星?」

 手を下の方に伸ばしてみると、そこはもううっすらと湿っていて。
 ミキティの顔は薄暗いなかでもわかるくらい赤くなっていた。

「なぁに、ミキティも本当はしてほしかったんだ? 期待してたんでしょ?」
「だ、だって、ごっちん本当にしないんだもん! 一緒にお風呂入っても、一緒に寝ても!」
「なぁんだ、それならガマンする必要なかったじゃん」

 もう一度唇を重ねる。
 今度はミキティも積極的に舌を絡めてきた。
 そして腕があたしの背中にまわり、あたしの身体を抱き寄せる。

「んっ、ミキティ……」
「ごっちん……」

 そのまま唇をずらし、ミキティの身体全部を味わうように、キスの雨を降らせる。
 頬、首筋、鎖骨、胸、お腹、脚、そしてココも……。

「あっ、ふぁっ!!」

 ミキティの身体がビクンと跳ねた。
 いつもよりも感度がいいみたい。

「ごっちん……もっと、して……」
「あはっ、ミキティの口からそんな台詞が出るなんてねぇ」

 いじわるして焦らすという選択肢もあるけど、今日はちょっとあたしが無理そう。
 ガマンするのもたまにはいいスパイスになるかもね。

「それじゃ、いっぱいいっぱいしてあげる。ダメって言ってもやめないからね?」

 ミキティは小さくコクンと頷いた。
 それを見届け、あたしはまたミキティの身体に吸い付いた。


 あっ、ちなみに。
 ちゃんと罰ゲームは執行したから!
 何したのかって? それはちょっとここじゃ言えないなぁ〜♡






あとがき

お待たせしましたというか、ご心配をおかけしましたというか。
とりあえず片霧さん、まだイケル! ってことで(ぉ
そんなこんなでごまみきです。前作がわりと(ごまみきにしては)ほのぼのだったので、今回はフルスロットルで(笑
そしたらこんな裏寸前なものになってしまいました。
たぶん表に置ける限界値ですねぇ。
積極的なミキティはかなり珍しいかも。

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