「あっ、紺野、こんの〜!!」
「えっ? あっ、後藤さん! なんですか?」

 テレビ局の廊下を一人歩いていると、急に後藤さんに呼び止められた。

「あのさぁ、一つお願いがあるんだけど!」
「えっ?」



  お願い



  コンッコンッ!

 衣装部屋のドアが外側からノックされる。
 そのノックに、私を取り押さえてる片割れの藤本さんが「ハイハーイ!」と返事をする。
 そっちに気を取られている隙に、もう片割れの吉澤さんが私の頭に耳をつけた。

「できた〜?」
「うんっ! ちょうどできたよ、ごっちん! 今持ってくから!」

 藤本さんと吉澤さんにずるずると引きずられる。
 さすがに二人相手には敵わないし、それに今は非常に身動きが取りづらい状況であって……。
 為すがままにされてる私は、そのまま衣装部屋から放り出された。

「ごっちんお待たせ〜!!」
「待ったよ〜! お〜、ちゃんとできてんじゃ〜ん!」
「紺ちゃん暴れるから苦労したんだよ〜? それより亜弥ちゃんにやるときはちゃんと手伝ってよね?」
「あっ、梨華ちゃんのときもね!」
「まっつーなら自分から進んでやりそうだけど。ま、いいや、ごとーにまかせとけ〜!!」

 藤本さんと吉澤さんは、「じゃ、頑張って〜!」などと言い残して去っていき、後藤さんはそんな二人に「お疲れ〜!」などと手を振ってから、私の頭からつま先までをくまなく見た。

「ご、後藤さん! なんですか、これはっ!!」
「うん、やっぱり紺野なら三毛だよね。ごとー的には白も捨てがたかったんだけど三毛にしてよかった!」
「冷静に分析しないでください!」
「やっぱり紺野って猫似合うよね〜!」
「うぅ……フクザツです……」



 あのあと後藤さんが指をパチンと鳴らすと、どこからともなく藤本さんと吉澤さんが現れて……。
 わけのわからぬまま衣装部屋に押し込まれた私が着せられたのは、ハロモニのコントで亀ちゃんが着ていた三毛猫の着ぐるみ(猫耳つき)……。


 「お願い」だったら私が答える前に話を進めないでくださいよ、とか
 久々に逢えたのになんでこうなるんですか、とかいろいろ言いたいことがあったけど、後藤さんにギューッと抱きしめられたことによって、全部遙か彼方まで飛んでいってしまった。
 ていうか……こ、ここ廊下なんですけど……!

「いや〜、可愛いー!!」
「後藤さんっ!! だ、ダメですよ、こんなところで……!」
「えっ? じゃあこんなところじゃなきゃいいの?」
「そ、そういうわけじゃなくて!」
「よしっ! じゃあごとーの楽屋に行こ〜! まだ時間あるよね?」
「わっ! ちょっと、後藤さん!!」


 そのあと私は猫の格好のまま、後藤さんの楽屋に連れ込まれてしまった。

 そこで後藤さんに何をされたか、なんて……

 言えません、言えません、言えません……



( ´ Д `)<いや〜、着せたはいいけど脱がしづらくてさぁ〜!
柏;・-・)<な、何言ってるんですかっ!!






あとがき

後紺祭り四作目!
すっごく一発ネタです!(笑
今度はぜひハロモニ劇場で猫紺野を!!

川*・-・)ノ<も、戻るニャ……。