今日は仕事が一緒だったため、終わった時間も二人一緒で。
 だから久しぶりに一緒にアタシの家まで帰ってくる。
 このごろ忙しくてすれ違い気味だったからなぁ……。

 部屋に入るとさっそくごっちんはソファに寝そべってカバンから取り出したファッション雑誌を読み始めて。
 アタシはやることなくてテレビをつける。


 こんなふうにまったりとすごすのも嫌いじゃないんだけど……
 今夜はもうちょっと……アバンギャルドで行きたい気分……。



  抱いてよ!PLEASE GO ON



「ねぇ、ごっち〜ん」
「なぁ〜にぃ?」
 テレビを消して、ごっちんの背中に覆い被さるみたいに抱きついてみるけどごっちんは素っ気ない反応。
 胸が背中にあたるようにギューッと抱きしめてみるけど無反応。
 うぅ……そりゃごっちんみたいにおっきくないけどさぁ……少しくらい反応してくれないとアタシの立場が……。

「ねぇごっちん、なんか食べたくない?」
「ん〜……まだいいや。さっきちょっとお菓子食べちゃったから」
 だ、ダメだ……こんな遠回しに言っても気づいてくれない……。
 と思ったらアタシの下にいるごっちんは今まで読んでた雑誌をパタンと閉じた。
 もしかしてアタシの言いたいことがわかってくれた?
 なんてちょっと期待したんだけど……

「ミキティおなか空いたの? それならごとーなんか作ろうか?」
「えっ! いや、ミキもまだいい! おなか空いてないし!」

 アタシの下からはい出して、キッチンに向かおうとしたごっちんを慌てて止める。
 ほら、確か食欲と性欲は比例するんであって……。
 つまりお腹いっぱいになっちゃうとヤリたくなくなっちゃうってわけで……。
 これはちょっと逆効果だったみたい……。


「それじゃ、さ、ごっちん、お風呂入ろうよ。仕事で汗かいたし」
「ん〜、ミキティ先に入っていいよ。ごとーはこれ読み終わったら入るから」
「え〜、ごっちんと一緒に入るー!」
「でもそんなに広くないでしょ? 二人で入るといつもきついし……」
「ずーっとくっついてれば大丈夫だよ!」
「ん〜、まぁこれ読み終わったらねぇ」

 アタシとの会話をさっさと片づけて雑誌に戻るごっちん。
 なんだよー、アタシより雑誌のほうが大事なのかー!!
 う〜ん……やっぱり遠回しじゃダメだ……もっと大胆にいかないと!
 てゆーかかなり恥ずかしいんだけど……。


「ねぇごっちん、こうやってさぁ、最近忙しかったから仕事以外で一緒に過ごせるのも久しぶりじゃん」
「ん〜、そういえばそうだね〜」
 覆い被さったままでごっちんのうなじや耳にキスする。

「ごっちん……ずっと会えなくて寂しかったよぉ、ミキ」
「ん〜、ごとーも〜」

 うっわ……心がこもってない〜。
 絶対意識は雑誌に集中してて、アタシには適当に答えてるな!
 ムカついたのでごっちんが読みふけっている雑誌をパッと取ってやった。

「あっ! なにすんだよぉ、ミキティ!」
 そのとたん、今までの反応が嘘のようにガバッと起きあがって雑誌を奪い返しに来るごっちん。
 アタシもなんとかごっちんの手をかいくぐって奪い取った雑誌を死守する。

「ちょっとミキティ! ごとーまだその雑誌読んでるんだから返してよー!!」
「ヤダっ! 雑誌読んでるとごっちんはミキの相手してくれないんだもん!!」
「もう、子供みたいにー! 悪い子にはオシオキするぞ!!」
「やれるもんならやってみやがれ!」
「言ったなー!」

 そのまま狭いソファの上でジタバタと攻防戦。
 つーか今の状況がすでにオシオキ状態なんですが……。
 そんなことを考えていると急にごっちんが勢いよく飛びついてきてそのままソファの上に倒れてしまった。

「ご、ごっちん……」
 ごっちんに上から見つめられるだけで体が動かなくなる。
 顔も体も熱い。それは今までバタバタとふざけあっていたからではないはず。
「へっへっへ、覚悟しやがれ!」
 ニカッと笑うとそのままごっちんの顔が近づいてくる。
 こんなオシオキなら願ったり叶ったりなんだけど……。
 もう少しで唇がつきそうだったので慌てて目を閉じたけど……


「スキありっ!!」
「!?」

 急に手から今まで掴んでいた雑誌の感触が消失した。
 近づいていたごっちんの気配も消え、目を開けてみるとそこには雑誌を手に持って勝ち誇っているごっちん。

「あはは〜、こうすれば絶対ミキティから取り返せると思った!」
 取り戻した雑誌をヒラヒラと振って、そしてすぐにごっちんは雑誌を開いてまた読み始めた。
 うぅ、ごっちんのバカー! 鈍感ー!!
 もういいよ、ごっちんなんてー!! え゛〜ん!


 そのままソファの隅に縮こまっていじけていたけど……
「ミキティ」
 急に呼びかけられて振り向くと、それと同時にほっぺたを手で挟まれ……
「んんっ!?」
 いきなり唇を塞がれた。
 そのあとすぐにごっちんの舌が口の中に入ってきて。
 目を閉じることさえもできないでいると、そっとごっちんの顔が離れた。


「ミキティ、誘い受け下手だね〜」
 ギュッと抱きしめられ、耳元で笑いながら囁かれた。
 「下手ってゆーな!」って切り返すよりも、まず……

「ぇえっ!? わかってたの?」
「とーぜん! でもさぁ、あとのほうはともかく最初のほうは遠回しすぎるよ。ごとーじゃなかったら気づかないよ?」
 「でもそんなこと他の人にしたら怒るけどね」とつけ加えると、ごっちんはアタシの腕を引っぱって立たせた。

「さてと、お風呂入るんでしょ? 一緒に入ろー!」
「う、うん……」

 ごっちんに手を引かれてお風呂場まで移動する。
 途中ソファの上に置かれた、ごっちんが今まで読んでいた雑誌が目に入った。
 よく見てみるとあの雑誌って昨日も今日もアタシが忙しい時間をぬってごっちんの楽屋を訪ねたときに読んでいたヤツ……。


「ごっちん、いつからわかってたのよー?」
「もちろん最初っから! だってごとーはミキティのことならなんでもわかるもん! 隅から隅まで!!」
「わ、わかってたんならどうしてあんなふうに素っ気なく返したりしたの?」
「いやー、頑張って誘ってるミキティ見たらついついからかいたくなっちゃってさー! 可愛かったよー、ミキティ♪」
「……イジワル……」

 「クヒヒ」と小悪魔みたいに笑うごっちんを見て、急に脱力感が襲ってきた。


 やっぱりアタシはごっちんには敵わないなぁ、なんて……
 さっさと脱がされていく服を見ながらそう思いました。






あとがき

コンセプトは簡単。誘い受け 川VvV从
そして確信犯なプチデビル ( ´ Д `)
いやー、ありえない! でもだからこそやってみたい!
とりあえずこの続きは裏に……

川*VvV*从<戻ろ……