「あ、あの……」
「ん〜?」
「……ホントにそれで喜んでくれるんでしょうか?」
「だいじょぶ、だいじょぶ! ぜってー喜ぶって!!」
「そうそう、嬉しすぎて倒れちゃうよ! あっ、倒されるのか」
「えっ?」
「や、なんでもない、なんでもない」
「とにかくウチらに任せておけってー!!」
「は、はぁ……」



  Presents



「おはようございま〜す」

 挨拶をしながらテレビ局に入る。
 今日はハロモニのコントの撮影。
 それが終わるとあたしはまたライブ漬けの日々になる。

 テレビ局の廊下を歩いて楽屋に向かう。
 今日は……あっ、なっちと一緒だ!
 遅刻魔が二人。今日はどっちが早かったかな、と楽屋の扉を開けるとなっちはもう来ていた。あら、負けちゃった。

「おはよー、なっち!」
「あっ、おはよー、ごっちん!」

 あたしに気づくとなっちは読んでた雑誌をパタンと閉じた。
 そしてソファから立ち上がり、スススッとあたしの前に来ると……

「はいっ、ごっちん!」
「んあっ!?」

 差し出されたのはキレイにラッピングされた箱。
 あたしは意味がわからなくて困惑していたんだけど……

「ほら〜、もう少しでごっちんの誕生日じゃん! 当日はなっちもごっちんもライブだし。だからちょっと早めだけどプレゼント!」
「あぁ、そうか! もうちょっとでごとーの誕生日かぁ! ありがと、なっち〜!」

 なっちからのプレゼントを受け取る。
 なっちは「自分の誕生日忘れてたんだべか」と苦笑い。

「あけていい?」
「ん、いいよ」

 キレイなラッピングを破らないように開けてみる。
 するとそれは……



『仔犬のワルツ』DVD-BOX。



「んあ〜、ありがとなっち〜!!」
「わわっ!」

 嬉しくって思わずなっちに飛びつく。
 なっちのドラマ本当に好きだったんだよね〜!

「なんか自分ので悪いけど……」
「そんなことないよ〜! また最初っから見るね〜!」
「ありがと。でもそろそろ離れて。紺野に見つかったらヤバいっしょ?」
「あっ、そだね」

 なっちの香りが名残惜しくも体を離す。
 するとその時楽屋の扉がコンッコンッとノックされた。

「ごっつぁ〜ん、来てる〜?」
「あれ? あの声って……」
「ヤグチだべさ」

 楽屋の扉を開けるけど、そこには誰もいな……いや、いた。
 少し視線を下げるとそこにやぐっつぁんが。

「ごっつぁん、誕生日おめでと〜!」
「えっ、やぐっつぁんも?」
「うん。誕生日前だと今日が会える最後の日だしさ。なんかみんなプレゼント持ってきてるみたいだからオイラはちょっと抜け駆け」
「わ〜、ありがとう!」

 やぐっつぁんから受け取ったプレゼントはなんか薄くて硬くて……。
 何かの本かな? と思って開けてみると……



漢字ドリル3冊。



「ごっつぁんも勉強しろよ〜!」
「あはは……ありがと……」

 いや〜、確かに勉強しようかな〜とは言ったけど……。
 なんかあっちゃんにも同じようなのもらいそうで怖いなぁ……。


「それじゃ、そろそろ撮影始まるみたいだから。またあとでね」

 やぐっつぁんはそのまま扉の方に歩いていったんだけど、やぐっつぁんが手をかける前に扉が開いた。
 入ってきたのは制服がばっちり決まった婦警さんと、ハゲヅラ&ひげなしの大家さん。ではなく裕ちゃんと圭ちゃん。

「ごっちゃ〜ん! 誕生日おめでとう〜!!」
「あ、ありがと、裕ちゃん……」
「ごっちんももう19歳かぁ、早いねぇ」
「ほら、ウチらからのプレゼントやで!」
「はい、おめでとう」

 圭ちゃんからドンッと渡されたプレゼントは、もう見た目と重さからだいたい想像がついて。
 イヤな予感しかしないんだけど、一応開けてみる。



銘酒『鬼殺し・改』。



「あとでいっしょに飲もうな〜!」
「いやいや……ごとーまだあと一年あるんだけど……」

 ていうか警官が未成年に酒勧めるな!

「細かいことは気にすんな! なっちもいっしょにどうや?」
「えっ、いいの?」

 なっち、命知らず……。


 コントの撮影が終わるとプレゼントはさらに増えた。
 まず最初に駆けよってきたのはこの二人。

「「ごっち〜ん!!」」

 辻と加護。
 なんか大きな袋を抱えている。

「はい、誕生日プレゼントやで!」
「ののとあいぼんかられす!」
「お〜、ありがと〜!」

 さっそく袋を開けてみる。
 するとそこに入っていたのは……



お菓子詰め合わせ。



「味は大丈夫やで! ちゃんとのんといっしょに全部試食したから!」
「そうそう!」
「あ〜、そう……」

 なんかそっちが目的っぽいんだけど……。
 た、食べきれるかな、こんなに……。



『後藤さ〜ん!!』

 お菓子の入った袋を抱えながら歩いていると、また背後から呼び止められた。
 ふり向くと小さな集団があたしの方に向かってきている。
 れいなを先頭にして、高橋、小川、新垣と亀ちゃんとミッチー。
 ゴロッキーズ−紺野と藤本(モーニング娘。)って感じ?

「あの、後藤さん! これ誕生日プレゼントです。みんなでつくりました」

 代表してれいなが手に持った箱を差し出す。

「あはっ! ありがとう、れいな」

 くしゃっと頭を撫でてやるとポッと顔が赤くなる。かぁわいいなぁ〜!
 周りから「れいなだけずる〜い!」と非難の声があがるけど、れいなは睨みつけて黙らせた。

「あの……どうぞ」
「ありがと」

 けっこう大きめの箱を受け取り、開けてみると……



手作りケーキ……+マンゴープリン(?)。



「……あのさぁ、れいな……」
「はい、なんですか?」
「ケーキはわかるんだけど……このマンゴープリン(と思われる物体)は?」
「あぁ、それは……高橋さんと絵里がつくったんですけど……」

 やっぱりね……。
 あぁ、圭ちゃんの気持ちがよくわかる……。
 頼むから今度はちゃんとマンゴー使っててよ……。


 次は誰かな? と思ってると、次はこの三人だった。
 お菓子の入った袋とケーキ(+マンゴープリンと思われるもの)を持って楽屋へと戻っていくと、途中でよしことはち合わせた。

「んあっ、よしこ!」
「おぉ、ごっちん! ちょうどよかった!!」

 よしこの後ろにはミキティと梨華ちゃんもいる。

「はい、ごっちん! ウチら三人からの誕生日プレゼント!」
「あ〜、ありがとう」

 よしこから差し出された箱を受け取る。
 といっても……こいつらがまともなものを贈ってくれるなんてハナから期待してない。
 梨華ちゃんはともかく、よしことミキティがいるんだから……。
 その証拠によしこ、顔がニヤけすぎ。
 ビックリ箱かなんかか? でもそれにしては箱が小さいし縦長だなぁ……?

「ね、ねぇ、本当にいいのかなぁ……?」
「いいっていいって!」

 なにやらよしこの後ろから不吉なやりとりが聞こえてくる。
 梨華ちゃんがちらちらとあたしのほうを見て困り顔になってて、ミキティは梨華ちゃんを適当に流して、よしこと同じくニヤけ顔。

「紺野に使ってあげれば喜ぶかもよ!」
「はぁ? 紺野に?」

 な、なんなんだ、いったいこれ……?
 おそるおそる箱を開けてみて……赤面。



オトナのオモチャ♡(イヤン



「よしこー!! ミキティ!! 梨華ちゃんっ!!!」
「ほらー、やっぱりごっちん怒ったじゃん!!」
「ぬはは、大事に使ってねぇ〜!!」
「コラァ、ミキおいて逃げるな、バカップル!!」

 いらんわい、こんなもん! あたしのフィンガーテクで十分だっ!!
 ていうかいったいどうやって手に入れたんだよ、これっ!?


 ゴミ箱に突っこんでやろうかとも思ったけど、まぁ一応はプレゼントなのでそのまま持ってきた。
 う〜ん……機会があればちょっと使ってみようかなぁ? なんて……。
 いやいや……やっぱり紺野にはちゃんとあたしのカラダで愛情をたっぷり注いであげないとね♡

 そこまで考えて、そういえばまだ紺野にはプレゼントをもらってないことに気づく。
 当日にくれるのかなぁ? でも当日はお互い違うところでライブだし……。
 ていうかコント終わってから紺野見てないなぁ?

「あっ、ごっちん!」
「んあっ、なっち?」

 プレゼントをかかえて楽屋に戻ってくると、ちょうど楽屋からなっちが出てきた。
 もうすっかり帰り支度が終わっている。そういやなっちはこの後もお仕事入ってたっけ。

「うわ〜、ずいぶんもらったねぇ〜!」
「まぁね。余計なものもあるけど」
「あっ、もう一つプレゼントが楽屋に届いてるよ」
「えっ?」
「それじゃお疲れ〜! がんばってね!」

 がんばってって……何を?
 ていうかプレゼントって?


 楽屋に入ってみると……確かに……。プレゼントらしき箱がおいてあったんだけど……。
 問題はその大きさが……あたしの胸くらいまであるってこと……。
 まぁテレビ局だからこんなのもあるだろうけど……何が入ってるんだ……?

 今度こそ本当におそるおそる箱を開けてみると……

「あっ、ご、後藤さん……どうも」
「!? 紺野っ!?」

 箱の中から出てきたのはなんと紺野で。
 確かに人一人くらい入れそうな大きさだけど……。
 でもそれ以上にあたしが驚いたことは……紺野の身体にリボンが巻かれていること……。

「こ、紺野……何してんの……?」
「あっ、えっとですねぇ……後藤さんの誕生日プレゼントどうしても決められなくて、それで吉澤さんに相談したら『プレゼントは紺野が一番だよ!』って言われたんで……その……プレゼントに、なっちゃいました……」

 くらっ!
 軽く目眩を覚えて後ろにのけ反る。
 か、可愛い! かわいすぎっ!!

「……で、そのリボンは?」
「あっ、さっき吉澤さんがやってくれて……」

 くっ、よしこめ!
 うらやま……いやいや、なんつーことを!
 でも……

 改めてプレゼントになった紺野を上から下まで見渡す。
 体中リボンで縛られて、ちょっと赤い顔をしている紺野はなんかアブナイ魅力に溢れていて。
 それがまた萌えるっていうか、そそるっていうか……。
 いや、いかんイカン! これじゃヘンタイじゃんか、あたし!!


「あの、後藤さん……」
「んあっ?」

 いろいろな葛藤と戦っていると、紺野が弱々しい声で呼びかけてきて。
 紺野の方を向くと……

「それで……もらってくれますか、私のこと……?」


 ぷちーん。
 あたしの中で何かが切れた。
 だってねぇ、あんなカッコで、しかも困り顔の上目遣いであんなこと言われちゃあ……。

「紺野ー!!」
「えっ、ってうわっ!?」

 紺野を抱きかかえ、一瞬でソファに移す。
 そしてそのまま覆い被さって深〜いキスをする。

「やっ、ちょ、ご、後藤さん!」
「あはっ、ちゃんともらってあげる! ていうか絶対にもらうから! これで紺野はごとーのものだ!!」
「やっ、んっ、後藤さん、せめて腕のリボンだけは外してください!」
「ダ〜メ!」
「ぇえっ!?」


 今日もらったどんなプレゼントよりも……
 最初にこの一番可愛いプレゼント、いただきま〜す!!






あとがき

と言うわけでごっちん19歳おめでとうございます!!
遅くなりましたが誕生日SSです。

ま、せっかくなんでごまこんなんですがけっこうオールキャストに。
みんながみんな、けっこう特徴あるプレゼントにできたかなぁ、と思います(笑
ていうか最後のほうはちょっとアブナくなったり……。裏に置くべきかなぁ(汗

川*・-・)ノ<も、戻ります……。