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case1:なちごまの場合

「ふぁ〜あ……」
「んっ、なっち、眠い?」

 小さくあくびをしたつもりだったんだけど、となりに座ったごっちんはしっかりと気づいたらしい。
 見ていたテレビから視線を移して、私の顔を覗き込んでくる。

「ん〜、ちょっと眠いかも……」
「じゃあもう寝ようか?」
「うん……」

 目をこすりながら頷くと、ごっちんはパチッとテレビを消した。

「じゃあベッド行こ?」

 そしてごっちんに手を引かれて寝室へと移動する。
 ホントに目が閉じかけるほど眠くて、私はごっちんにされるがままになってたんだけど……

「んふっ、なっち……」
「んっ……」

 私をベッドに座らせたとたん、ごっちんはそのまま口付けてきて……

「ん〜、ごっちん、寝るんじゃなかったの〜……?」
「え〜? だってこのまま寝ちゃうなんてもったいないし〜」

 話ながらも、合間にごっちんは私に口付けてくる。
 これが狙いでさっさと寝室に移動したわけか……。
 ま、それならそれでいいんだけどね……。
 でもやられっぱなしってのもちょっと癪だから……

「ごっちん……」
「んっ?……んっ……」

 ごっちんの唇を味わいながら、グッと体重をかける。
 その展開は予期してなかったらしく、ごっちんは簡単にベッドに倒れた。
 私はその上に覆い被さる。

「えっ、なっち……?」
「フフッ、今日はなっちが押し倒しちゃったぁ!」

 軽く乱れた前髪から覗くおでこに、一回優しく口付ける。

「ごっちん、今日はなっちがしてあげる」
「へっ……?」

 ごっちんは驚いた顔をしてたけど、やがて「あはっ」と微笑んだ。

「なっちのえっち〜!」
「えっちなのはごっちんっしょ!」

 身体を重ね、そっと首筋に唇を寄せる。
 ごっちんは私の背に腕をまわし、「んっ」と小さく啼いた。

「ちょっとはずかしいけど、うれしいなぁ」
「おねぇさんに任せなさい。気持ちよくしてあげるから!」
「あはっ! ごとーはまな板の上の鯉です〜!」
「また変なこと言って〜!」

 ごっちんの髪を撫でながら、もう一度だけ口付ける。
 そしてパジャマをゆっくりと捲り上げた。

「なっち、だいすき……」
「ん、知ってる……」

 思えばさっきまでものすごく眠たかったのに、今はもう完全に目が冴えていた。
 だって、私は睡眠欲よりごっちん欲の方が強いんだもん。


case2:ごまみきの場合


「ミキティ〜!」
「んっ? なぁに、ごっちん……?」

 今日ももう終わる時間。
 そろそろ寝ようと思ってベッドに座ると、ふわっと背中から甘い香りに包まれる。
 あたしの彼女、ごっちん。
 付き合ってもうけっこう経つんだけど……

「ねぇミキティ、ミキティって明日オフだよねぇ?」
「そ、そうだけど……。ごっちんは仕事だよね……?」
「うん、でも午後からだから早起きしなくてもいいんだよね〜!」

 ごっちんはニコニコと笑いながら、アタシの前に回る。
 そして重ねられる唇。
 優しいキスからだんだんと激しいキスに。
 そのままベッドの上に倒れ込む。

「いいよね、ミキティ?」
「ダメって言ってもするんでしょ?」
「んふっ!」

 アタシの目を覗き込むごっちんの目。
 頬を撫でる優しい指
 落とされる甘い唇。
 付き合ってから何度も何度も感じた。

 だけど、アタシはいっつもごっちんに攻められてばっかりで……。
 やっぱりこう、一応アタシの方が年上なんだし……。
 だから……たまにはアタシがごっちんを攻めてみたい!

「ミキティ〜!!」
「やっ、ちょ、待って!」
「え〜? せっかく目の前にご馳走があるんだから、お預けなんてできない〜!!」
「違っ! そうじゃなくて!」

 なお迫ってくるごっちんを、アタシはなんとか押しとどめる。

「んあっ?」
「今日はちょっと、その……少し趣向を変えてみない……?」
「お〜、まさかミキティの口からそんな台詞が聞けるなんて!」

 よかった、ごっちんもけっこう乗り気みたい。
 そう思って、そっと身体の上下を入れ替えようとしたんだけど……
 あろうことかごっちんはとんでもないことを口にした。

「それじゃあ……今日は軽く縛ってみる?」
「はぁ!?」
「あ〜、でもミキティじゃ胸に縄が引っ掛からないかなぁ……?」
「どういう意味だ!!」

 ていうかどんな縛り方するつもりなのよ!
 いや、聞きたくない、考えたくない!

「そ、そうじゃなくて!!」
「え〜? じゃあどうしたいの?」

 すごい不服そうなごっちんの声。
 なんか微妙に言い出しづらいんだけど、しょうがない。

「だからその……ミキがごっちんにしてあげる……」
「・・・・・・」

 ごっちんはアタシに覆い被さったまま、キレイに固まった。

「ちょっと、な、なんか言ってよ」

 そう促すと……

「無理!」

 と、二文字だけごっちんは返してくれた。

「えぇっ! な、なんでよ!?」
「だってごとーは可愛いミキティが見たいんだもん!」
「ミキだってたまにはごっちんのこと気持ちよくしてあげたいよ」
「そんなことしてくれなくても、ミキティはただごとーの腕の中で可愛くあえいでくれればいいの!」

 いつの間にかアタシはパジャマを脱がされていて……。
 そしてごっちんもパジャマを脱ぎ捨てていて、そっと身体を重ねてきた。

「あっ、ごっちん!!」
「それじゃあ改めて、いただきま〜す!」

 結局今夜もいつもとかわらない夜で。
 アタシはやっぱりごっちんにそのまま食べられてしまいました……。
 う〜……いつか絶対ごっちんを攻めてやる〜!


case3:れなこんの場合

「ポンちゃん……」
「んっ……れいな……」

 今日は久しぶりにポンちゃんチに遊びに来て。
 気がついたらかなり遅く、ついでに明日はオフなので、泊まらせてもらうことになった。
 夕食をご馳走になって、お風呂に入って、夜も更けたので一緒にベッドに潜り込んだんだけど。
 まぁ、せっかくポンちゃんチにお泊まりなんだから……

「ポンちゃん、いいですか……?」
「で、でも、明日……」
「オフですよね? ちょっとくらい遅くなっても大丈夫ですよね?」
「あっ、そうだったね……」

 ポンちゃんの反撃なんてお見通しと。
 ていうか仕事ある時はどうせ同じ仕事なんだから、どうしようもないとき以外は迫ったりしないし。

「ポンちゃん……」
「んっ……」

 上半身だけポンちゃんに被さって、唇を重ねる。
 甘くて柔らかいポンちゃんの唇は、すごく癖になる。
 でもしばらくそのまま味わってたら、身体をポンちゃんに押し戻された。

「れいな、待って……」
「え〜? だ、ダメなんですか……?」

 ここまできてお預けはちょっとキツイ……。ていうか無理だって……。
 でもポンちゃんはなにを考えたのか、さっきあたしがしたように上半身だけ起こして、あたしの上に覆い被さってきた。

「えっ、ポンちゃん……?」
「れいな、今日は私が……してあげる……」


「……えっ!?」

 きっかり30秒くらい、あたしはポンちゃんの言葉の意味がわからなくて硬直していた。
 そのあいだにポンちゃんも、暗いなかでもしっかりわかるくらい真っ赤になったけど、ゆでだこみたいな顔とは対照的に、手はあたしのパジャマのボタンに伸びて。

「ちょ、ぽ、ポンちゃん!?」
「大丈夫。私のほうがお姉さんなんだから、たまにはれいなも気持ちよくしてあげる」
「で、でも……んっ!?」

 それ以上は口を塞がれてしまったので続けられなかった。
 キスしながらも、ポンちゃんは次々とパジャマのボタンを外していって。
 いつもはのほほんとマイペースなのに、なんでこんなときだけすばやく動けると!?
 それになんかすごく積極的だし……。

「んっ……はぁ……」

 甘いキスに力が入らなくなる。
 ベッドの上でぐったりしてると、いつの間にかボタンは全部外されてしまっていた。

「あっ……ポンちゃん……」
「れいな……」

 ポンちゃんってこんなに色っぽい表情もできるんだ……。
 その表情のままポンちゃんが顔を近づけてきて、手があたしの髪を優しく撫でた。

「大丈夫……えっと、優しくするから、ね?」
「はい……」

 いつもはポンちゃんの可愛い顔が見たいから攻めてたけど
 こんな顔を見れるなら、たまには受けにまわるのもいいかもしれないなぁ……。






あとがき

はい、なんとなくいつもとは違う感じでございます。
いつものCPの攻め受けを逆にしてみた(一部除く)短編オムニバス!
もとはというとかなり前にもらった「紺攻めのれなこん(うろ覚え)」というリクを元にして作ったものだったりします。
たまにはこう逆にしてみるのもいいかもしれませんねぇ。
でもごまみきは、たぶん逆はない……(笑

川;VvV从<なんでよ……?

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