最近ミキティがちょっと変だ。
 と、いうのも……

「ごっち〜ん!!」
「へっ? んあっ!!」

 ガバッと抱きついてくるミキティ。
 それだけならまだしも、ピタッとくっついてそのまま離れようとしない。

 なんか最近ミキティはやけにあたしに甘えてくる。
 というかやけに積極的だ。
 この前だって収録中にもかかわらず抱きついてきて、嬉しかった反面どうしようか困った。
 や、さすがにカメラまわってる前で、ていうかみんないる前で押し倒すわけにもいかないしねぇ。

「ねぇ、ごっち〜ん! 雑誌なんか読んでないで、ミキと遊ぼ?」

 ミキティがすり寄ってきて、あたしはちょっと理性がヤバイ。
 う〜ん、いったいこれは狙ってるのか無意識なのか……。
 や、きっと無意識なんだろうな。基本的にミキティは誘い受け下手だから……。

 とりあえず、どうしようかな、これ……。



  まだコドモ、もうオトナ



「ねぇ、ごっちんってば〜!!」

 いい加減無視して雑誌を読み続けるのも辛くなってきたので、あたしは雑誌を閉じる。
 ミキティのほうを見るとすぐ近くにミキティの顔があって、あたしは引き寄せられるようにそのままミキティに口付けた。

「んぅ……はぁ……」

 ミキティの口から零れる吐息があたしの理性を突き崩していく。
 あ〜あ、やばいなぁ、まだ真っ昼間なんだけど……。
 でもまぁ、誘ってきたのはミキティなんだし……いいか?
 あたしはそのままミキティをソファに押し倒した。

「あっ……」
「んふっ! ミキティが誘ってきたんだから。いいよね?」

 ミキティの耳を舐めながら囁く。
 手はミキティの身体の上を這い回る。
 でもいつもと違って、ミキティからの抵抗はなかった。

「……あれっ?」
「その……ごっちんがしたいなら……ミキはいいよ?」
「……むぅ」

 やっぱりどこか変なミキティ。
 いや、これは据膳でなかなかオイシイ展開なんだけど……。
 あたしは溜め息をついて、体を起こした。

「ごっちん?」
「……やめた」
「え〜、なんで……?」
「なんか、気分が乗らない……」

 いや〜、やっぱり恥ずかしがってるミキティをごーいんにヤるのがいいんであって。
 だからなんとなく燃えないというか、萌えないというか……。

「どうしたの、ごっちん? 変じゃない? 普段は何があっても最後までヤるのに……」
「……ていうか……」

 まだソファに寝そべったままのミキティを抱き起こす。

「変なのはミキティのほうでしょ? なに、変なもの食べた? それともキャラ変えた? それとも改宗でもしたの!?」
「や、改宗ってのは意味わかんないから」

 ツッコミキティは健在。
 どうやら人格が完全に変わったというわけではないみたい。

「だっておかしいじゃん! ごとーが押し倒しても嫌がんないし、自分から誘ってくるし、普段は誘い受け下手なのに上手いし!」
「下手ってゆーな! けっこうがんばってんだから!!」
「つーか本当にどうしたの!? なんか悩みがあるなら相談に乗るよ!?」
「・・・・・・」

 ミキティは黙っていた。
 でもしばらくすると、無言のままあたしの胸に倒れてきた。
 なんとなくそのままミキティを抱きしめる。

「……ごっちん」
「ん〜?」
「もう少しでミキ誕生日じゃない?」
「あ〜、そうだね」

 誕生日プレゼントどうしよ?
 そういやまだなにあげるか決めてなかったなぁ……。


「それで……ハタチになっちゃうとさ、やっぱりもうオトナって感じで……」

 あたしの胸の中で、ミキティがポツポツと喋り続ける。

「どうしてもしっかりしないといけなくなるから……だから……」

 言い淀んでるミキティの言いたいことがなんとなくわかった。
 ついでに今日の変な行動の訳も。

「だから、まだ19才のうちにごとーに甘えておこうと?」
「……ぅん」

 見えるところは余すところなく真っ赤にして。
 消え入りそうな声だったけど。
 顔の動きで頷いたのがわかった。


「あはっ、そんなことで悩んでたの?」
「そんなことって……ミキにとってはけっこう重要なことなの」

 ミキティの身体をきつく抱きしめる。

「ミキティがハタチになっても三十路になっても、ごとーにとっては可愛い子供だよ?」
「ていうか、ミキのほうが年上なんだけど……」

 そんなことを言いながらも、ミキティもあたしの背中に腕をまわしてくる。
 こんなふうに何もせずにただ抱きあってるのって、けっこう久しぶりかも。


「じゃあ今日は思いっきりごとーに甘えていいよ?」
「……えらそーに」
「でも嬉しいでしょ?」
「・・・・・・」

 胸の中にあるミキティの頭を優しく撫でる。
 ミキティはちょっとくすぐったそうに身をよじった。

 普段はどっちかっていうと、あたしが甘える方なんだけど……
 こんなのもけっこういいかもね?
 ハタチになっても、たまにはあたしに甘えてね、ミキティ!



「……でもさぁ、ミキティ」
「んっ? って、きゃあっ!?」
「コドモはこんなことしないよねぇ?」
「ぇえっ!? 結局するの〜!?」







あとがき

ミキティ誕生日前小説です。
ちょっと早いですが誕生日おめでとう!
なんとなくハロモニのネタも絡んでたり(笑

ごまみきにしては案外ほのぼのかも?
でもだんだんごっちんがアブノーマルな方向にいってるような……(汗

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