ゴロッキーズの収録が終わって楽屋に帰ってくる。
 大急ぎで次の仕事へと行くゴッキーズの皆さん+藤本さん。
 アタシは今日はこれで終わり。ついでに明日は久々のオフ。
 なにしようかなぁ。っていってもまたどうせ寝ちゃうんやろうなぁ……。

「おつかれ、れいな〜」

 明日の計画を練っていると背後からほのぼのとした声が聞こえてきた。
 今日の収録で久々に一緒だったさゆ。さゆも今日はこれで終わり。
 その瞬間、アタシはイイコトを思いついた。

「ねぇさゆ、さゆも明日オフだよね?」
「うん、そうだけど?」
「それならさ、今からさゆんチに泊まりに行ってよか?」
「えっ?」
「ほらぁ、れいなオフだと朝起きれないけん、さゆ起こして!」

 まさに一石二鳥。これだとさゆの家に行く口実にもなるし、明日一日さゆと一緒にいられる!
 さゆからの返事を待っていると……

「ん〜、私はいいんだけど……」
「?」
「え〜と……絵里も来るけどいい?」
「えっ!?」



  Wake me up!



「……なんで絵里がいるん……」
「……なんでれいなが来るのよ……」
「抜け駆けしたな!?」
「絵里だって抜け駆けするつもりだったんでしょ!?」

 連れてこられた(ていうよりはついていった)さゆの家。
 そこで見事に絵里とはち合わせ。
 さゆがお茶を入れに行ってるあいだに、アタシと絵里は微妙な言葉の攻防戦。

「藤本さんに言われたからさっそく実行したのにぃ! 邪魔しに来ないでよ!」
「別に藤本さんはさゆんチ行け、って言ったわけじゃなかでしょ! 邪魔なのは絵里のほうやん!!」
「ん〜? 私がどうかしたの?」

 さらにエスカレートしそうだったときに、絶妙のタイミングでさゆが戻ってきた。
 あいかわらずポケポケとしていて空気をまったく読まない。
 まぁ、そんなところも可愛いんやけど……。


 さゆはあたしたちの前に紅茶の入ったカップを置いた。
 でもさゆはカップを2つしか持ってきてなくて……

「あれっ? さゆのぶんは?」
「ん〜、私はちょっと汗かいちゃったから先にお風呂入ろうと思って」
 お風呂!?
 その言葉尻にピクッと反応する。
 でも反応したのはアタシだけじゃなくて……

「あっ! じゃあ絵里も一緒に入る!」
「なっ!? させるかぁ! さゆはれいなと一緒に入るの!」
「ぇえっ!? でも3人も入るとウチのお風呂きついよ〜」
 アタシの隙をついてさゆに飛びついた絵里を必死に引き剥がしにかかる。
 さゆはそんなあたしたちを見て困った顔をしてたけど、ここはアタシも引き下がるわけにはいかない。
 そのまま今度は実力行使での攻防戦を繰り広げていると……

「……あっ! そうだそれなら……」
「「えっ?」」
 急にさゆが顔を輝かせた。
 その顔を見てアタシは理由はわからないけど嫌な予感がした。
 たぶんそれは絵里も一緒だったと思う。
 そして……


「絵里、もうちょっとそっち行ってよ! 狭いんやけん!」
「れいなこそ場所とりすぎ!」
 なぜか絵里と一緒に入るハメに……。
 背中合わせになってバスタブに浸かる。
 ていうかこんなことするためにさゆんチ来たわけじゃなか!!


 お風呂からあがると、入れ替わりにさゆが入って。
 アタシと絵里はさゆが煎れ直してくれた紅茶を飲み、寝るための布団を敷く。
 その間もアタシたちは微妙にお互い牽制しあう。
 すなわち……


「ふぁ〜、さっぱりした!」
「あっ、さゆ、布団敷いといたよ」
「あぁ、ありがと〜」
「それでさぁ……」
「それじゃさゆはそっちね。れいなは真ん中で寝るから絵里はあっち!」
「なんでよぉ! 絵里が真ん中で寝る!!」
「絵里狭いところ好いとぉやけん壁際にしてあげるんやん!!」
「今は狭いところよりさゆの隣のほうが好き!」

 絵里とアタシでさゆの隣の取り合い。
 さゆはおろおろしてたけど、こういうのはだいたい最後の形は決まっていて……
 数十分の言い争い+数分の格闘のすえ、さゆの仲裁で寝る場所は壁際から順に、絵里、さゆ、そしてアタシの順になった。

 電気を消して布団に潜り込む。
 一応隣には寝れたけど、布団一枚の距離ってのは近そうで案外遠い。
 体ごとさゆのほうに向ける。
 もうちょっと近づいてもよか……? 近づきたいよ……。
 ズリズリとちょっとずつ体を布団の端へ移動させていったけど……

「ちょ、ちょっと絵里、私の布団に入ってこないでよ」
「だって寒いんだもん! さゆあったか〜い!」

 なにやら聞き捨てならない言葉が……。
 躊躇していたアタシも一気にさゆの布団に侵入し、さゆに抱きつく。

「れ、れいなまで……」
「絵里だけずるーい! れいなも!」
「ちょっとれいな! 早い者勝ちだよ、自分の布団に戻れー!」
「絶対イヤ!」
「あぁも〜、わかった。3人で一緒に寝よ?」

 そのままそっとさゆに抱き寄せられると、今までマシンガンのように出ていた言葉が急に出なくなる。
 ふわっとした感触とほのかに漂ういい香りが眠気を誘う。

「さゆ……明日起きたら真っ先にれいなを起こしてね」
「絵里だよ」
「はいはい、二人一緒に起こすよ。おやすみ」

 そのままアタシの意識は夢の中へ墜ちていった。
 もしかしたら三人一緒に、同じ夢の中に落ちていったのかもしれない。
 夢の中でもさゆと絵里に出逢った。
 まぁ、絵里はいなくてもよかったんやけど……。


「……んっ……んんっ?」
 夢の中から戻ってくると、部屋の中はすっかり明るくて……
「ん〜……さゆ〜……」
「うわっ!?」
 目の前いっぱいに広がるのは絵里の寝顔。
 アタシとしたことが不覚にも少しドキッとしてしまった……。
 ていうかなんで絵里がアタシに抱きついてるのよー!!

「ん〜、さゆ〜……」
「え、絵里ー! 離せ、れいなはさゆじゃなか!!」
「照れちゃって可愛いなぁ……」
「ち、ちがうっ! れいなは絵里と抱きあう趣味はなか!!!」

 絵里に抱きしめられながら時計を見ると、時計の針は1時を指していて……
 昨日「起こして」と頼んださゆは鏡の前で「今日の私も可愛いなぁ……」とトリップしていた……。


 もしかして一番のライバルは絵里やなくて……さゆ自身?






あとがき

宣言しといた6期小説です。
元ネタはゴロッキーズ! 亀井が言ってたことは私自身ものすご〜くわかります。
れなえりにしようとしたんだけど、二人とも寝てるってことでモテさゆに。
でもしっかりとれなえりも。
ていうか6期のキャラはまだよくつかめてないためかなり変だ……。特に亀井はキャラが違う気が……。
まぁ書いててなかなか楽しかったんですが、書いてる途中「さゆ」を「やす」とタイピングミスること多数……。
ぜ、全然違ってしまふ……。 ( `.∀´)<んっ?

从´ヮ`)☆<戻れ。