「なつみさま、誕生日おめでとうございます!」
「23才、おめでとうございます!!」
「ありがとう」

 月日は巡り、私はまた一つ年を重ねた。
 誕生日当日の今日は例年通り、お父様が催してくれたパーティに主役として参加する。
 お父様とお母様が前もって送ってくれたプレゼントのドレスを纏い、笑顔を振りまいてホールの中を歩いていく。

 パーティの参加者は各界の著名人から、お父様の知り合い、さらには政治家の卵まで。
 さすがにCATは参加することができないので、ごっちんは残念ながらお部屋でお留守番。



  Anniversary



「ふぅ〜……」

 しばらくしたのち、パーティは無事お開きになった。
 ようやく一息つく。

「お疲れ様でした、お嬢様」
「ありがと、圭ちゃん。それで……」
「フフッ、いい子に部屋でお待ちですよ」
「ありがと!」

 それだけ聞いて、私はパーティ会場であるホールを飛び出した。
 目指すのは自分の部屋。
 ドレスを着てるから走ることはできないけど、早足で自分の部屋へ向かう。
 そして勢いよく部屋の扉を開けた。

「ごっちん!」
「なっちぃ〜!!」

 すると部屋でお留守番をしていたごっちんが勢いよく飛びついてきた。
 頭から生えた二つのウサギ耳がピコピコと揺れる。

「なっち、ごとーいい子で待ってたよ?」
「うん、えらいね、ごっちん」

 ごっちんの頭をゆっくりと撫でる。
 でもごっちんはそれだけじゃ満足しなかったらしい。
 私のほうに唇を突き出してくる。

「もう、ごっちんは……」
「いいじゃん〜、なっちとキスしたいの〜!」

 優しくごっちんの頬を包みこむ。
 そして唇を重ね合わせた。
 ごっちんの腕が私の身体を抱きしめる。

「なっち、誕生日おめでとう」
「ありがとう。って、朝も言ったっしょ?」
「何回でも言いたいの〜!」
「フフッ」

 今度はごっちんの方から唇が重なった。
 じっくりとごっちんの唇を味わってから離れる。
 甘い時間がゆっくりと流れていく。

「なっち! ごとーからもプレゼントあるんだ!」
「本当!?」
「こっちきて!」

 ごっちんに招かれるまま、部屋の奥へと入っていく。
 すると、そこには……

「じゃーん!!」
「わぁっ!」

 テーブルの上、綺麗にデコレーションされたケーキが乗っていた。

「すごい! これごっちんが作ったの!?」
「うん! 料理人さんから作り方教わってね! 上手くできたでしょ!!」
「初めて作ったように見えないよ!」

 ごっちんに促され、テーブルの前に座る。
 ごっちんはケーキにろうそくを立て、炎を灯して明かりを消した。
 炎によって浮かび上がるケーキと、揺らめくごっちんの顔。

「なっち、消して!」
「うん」

 息を吸い込み、一気に吹き出す。
 炎が一つ、また一つと消えていき、やがて最後の一本が消えた。

「なっち、誕生日おめでとう!!」
「ありがと、ごっちん!」

 チュ、とごっちんの唇が頬に触れた。
 予期してなかったのでちょっとビックリ。
 そのあいだに部屋の明かりがまた点った。

「もう、いきなりはビックリするっしょ?」
「だってしたかったんだも〜ん! あっ、ケーキ食べよ!」

 ごっちんはナイフでケーキを切っていく。
 そしてその一欠片をお皿に移し、私の前に置いた。

「ありがと、いただきます」

 フォークでケーキを切る。
 ごっちんはワクワクドキドキといった表情で私のほうを見ている。
 フォークを口に入れると上質な甘味が口の中に広がった。

「んっ、美味しいよ、ごっちん!」
「ホントに!? よかったぁ〜!」
「ほら、ごっちんも食べてみて」

 またケーキを切って、ごっちんの口許に進める。
 ごっちんは口を開け、ケーキにぱくっと食らいついた。

「おいひ〜!」
「でしょ?」
「あっ、なっちにも食べさせてあげる〜!」
「な、なっちはいいべさ……!」
「遠慮しないで〜!」
「ていうか、ごっちんがしたいんでしょ?」

 私は観念してごっちんにフォークを渡す。
 ごっちんは同じようにケーキを切り、私に差し出す。

「なっち、あ〜ん!」
「あ〜ん……」

 フォークに乗ったケーキを口に含む。
 でもごっちんが切ったケーキはちょっと大きくて、生クリームが口のまわりに付いてしまった。

「あっ、ついちゃった……」

 慌てて拭おうとしたけど、その手はごっちんに止められて……

「ごとーが取ったげる!」
「ひゃっ!?」

 生クリームが付いた部分がペロッと舐められた。
 キスとはまた違った感覚にドキドキする。
 ごっちんも同じようで、クリームを舐め終わったあとも顔を近づけたまま。
 そのまま私たちはまた口付けた。

「んっ、甘い……」
「本当だね」

 ごっちんをギューッと抱きしめる。

「思えば、去年の誕生日プレゼントはごっちん自身だったんだよね?」
「ん、そうだね。なっちと会った時のことは忘れられないよ」
「なっちもだよ。なっちたちが出会って、今日でちょうど一年なんだね」
「んあ、じゃあ今日はごとーにとっても記念日だ!」
「本当だね」

 ごっちんのことが愛しくて、何度も何度もキスをする。
 頬に、瞼に、そして耳にも。

「一年間ありがとね、ごっちん」
「うん」
「そして、これからもよろしく。ずっと一緒にいてね、ごっちん?」
「もちろん! だってごとーはなっちのものなんだから!」

 抱きついてくるごっちんを受けとめる。
 愛しいぬくもりが身体に伝わってきた。
 たとえどんな未来が訪れても。
 このぬくもり、私は絶対に手放さないだろう。

 私たちは今日何度目かわからない口付けを交わした。
 それはきっと永遠を約束する口づけ……。






あとがき

CATがもう1年も経過していたので、いい加減変えようと思いまして、何にしようか考えた結果、思いついたのがCAT2。
配役最初はごまみきやられなこんやらいろいろと迷いましたが、最終的に一推しのなちごまにしました。
そんなわけで、ごっちんがとにかく甘えたなウサギのCATで、なっちがご主人様という、なんとも萌えれる組み合わせになりました(笑
ついでになっちが22才なのは、大学ネタを書きたかったからです。
あと今回はCATの設定やら、メインカップリング以外のキャラなんかも散りばめてみました。
でもってこっちに移すにあたり、アフターストーリーを追加してみました。
1年後のなちごまです。相変わらずイチャイチャしっぱなしです。
ちょっとDo it! Nowが混じったのはなちごまだからってことで(ぉ

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